|
■70年代生まれのキャラクターが強いのには何か理由があるのでしょうか?
陸川:やはり、全てが70年代に始まったという意味でパイオニア的な世代だからではないでしょうか。
相原:70年代はメディアが普及していく中で、キャラクターが一気にマスになっていった時代です。それまでの”ペコちゃん人形”などの偶発的なキャラクターの出方ではなく、しっかり
とビジネス化を意識したキャラクター開発がなされ、ターゲットもそれに追随してマーケットをつくっていくというキャラクターマーケットの原型が70年代に成立しました。80年代以降はその延長でマーケットがより細分化し、コアになっていった時代です。
70年代は、キャラクターにとって起点の時代といえます。
|
陸川:「ゴレンジャー」も70年代ですね。あれは、いまだに戦隊シリーズとして続いているわけですね。
相原:そうですね。今の話で不安なのは、今の30〜40代のお母さんの次の世代はどうなっていくのかという問題です。スタンダードキャラクターが大好きな30〜40代世代に続く今の20代女性とその子どもたちの意識はどうなっていくのか。この年代の女性たちは「キャラクター?別にいいんじゃない?」といった具合にとてもクールです。この年代が親となって、子どもとどのような関係を作るのか、興味深いですね。
陸川:先ほどのお話にもありましたが、キャラクターに関する関心が全体的には減少傾向にあって、ビジネス自体がマーケットとして大きくなっていません。
ここ何年か低迷していて、2003年は少し良かったのですが2004年は前年比3〜5%減となる見込みです。数字上はキャラクター離れが進んでいます。
ところが逆にキャンペーン展開や、広告媒体でのキャラクター利用はどんどん拡大しています。プロモーションとして使用されるキャラクターは巷に溢れています。そういった環境が今後にどういう影響をもたらすのか気になります。純粋なマーケットと広告を含む社会的な露出に奇妙なねじれ現象が起こっている印象があります。
相原:確かにキャラクター業界自体とそれを取り巻く側との温度差は感じますね。数字上はキャラクターマーケットは過度期にさしかかっているにもかかわらず、メディアでは「まさに旬のビジネス」と捉えられることが多いようです。日本のアニメコンテンツが世界的にも注目されているなど、トータルコンテンツ産業としての注目が高い影響もあると思いますが、キャラクター自体は非常に曲がり角というか、30年前につくられたマスキャラクターに頼らざるを得ない現状です。今、そして将来を引っ張る新しい考え方なりスタイルが出てきていない。70年生まれキャラクター以外のビックキャラクターの多くは海外で生まれたもので、輸入されたプロパティです。近年ではムヒョキャラ(無表情キャラクター)といわれる日本独特のキャラクターが生まれましたが、残念ながら多くは定着するには至りませんでした。日本らしさを活かした、いい形でのキャラクター文化やビジネスを成熟させるような方向に舵が取れていません。普通のマーケットで30年前に作られた商品が上位を独占しているという市場は無いですよね。ポケモン以降、本当のビックキャラクターがないというのは大きな問題だと思います。
陸川:アニメ自体は増えていますが、キャラクター商品につながるようなキッズ向けのアニメは苦戦しています。あったとしても1年で終わってしまって息の長い商品にならない。結局深夜帯のアニメばかりが増えている今、日本はいびつなものしか作っていないんじゃないかという不安を感じます。
相原:まさに今オタク世代が制作サイドなので本気でマスを望んでいないという部分があると思います。確かにそれはある種の武器だったのですが、今後日本がドライブしていく方向と向かい合っていないという意味でとても内向的だと思いますね。
制作現場だけでなくキャラクター業界全体が内側を向いていて、業界内部で閉塞しているところがあるように思います。キャラクターは世界から注目される日本独特な文化と言われている割にきちんとした議論がなされていない。議論されているのは、結局何が人気があるとか、何が何個売れたかとかほとんど商売ベースの問題だけです。
陸川:バンダイのキャラクター研究所のスタートと私どもキャラクター・データバンクの設立は、ほぼ同じ時期なんです。キャラクター・データバンクは業界の中で中立的な立場で、キャラクター研究所はトップメーカーの立場で、それぞれキャラクター文化というものを考えていこうというベクトルに向けて歩き出したのですが、その試みがなかなか広がっていかないもどかしさはあります。
相原:キャラクター研究所でも、例えば「キャラクタースカラシップ」というような、若い研究者を集めて新しく何か始めようという計画等、色々と模索していますが、世の中に対して新しい視点を提示できていません。やはり陸川さんや私たちがしっかり議論できるフィールドを提供する必要があるのだと思います。
陸川:そうですね。例えば今日のお話ででた、今受け入れられている「スタンダードなキャラクター」という言い方がありましたが、「スタンダードなキャラクター」とは何なのか、そういった基本的なことから共通のフィールドで議論していくことが大切です。
相原:今後、このホームページでもキャラクター業界の方、それ以外の各界の方々と対談を行っていきたいと考えています。この対談企画自体が議論のフィールドの素地になればと思っています。今日は本当に有難うございました。
(2005.3.2 バンダイ本社にて)
戻る
|