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■相原に2000年と2004年という4年間の時間をおいた時系列な比較をしてもらったのですが、2000年以降のキャラクターマーケットの変化とはどのようなものでしょうか?
陸川:キャラクターマーケットは90年代後半から右肩上がりで拡大してきました。この時期の大きなポイントは2つあります。ひとつはハローキティの第三次ブームです。ハローキティは、大人の女性がキャラクターを持っても恥ずかしくない、という免罪符的な役割を果たしました。2つ目は、10年にひとつ出るか出ないかというビッグヒットキャラクターであるポケモンが96年からスタートしたことです。ハローキティとポケモンが90年代後半を牽引する形で、キャラクターマーケットは拡大を続け、頂点を迎えた1999年の小売マーケットは2兆円に達しました。90年代はまさにキャラクターバブルと呼ぶべき年代でした。グラフ6
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陸川和男氏
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キャラクター小売マーケットの変化グラフ(億円) グラフ6
日本におけるキャラクタービジネスは1963年の鉄腕アトムから始まったと言われていますが、本格的なビジネスとして捕えられるようになったのは90年代以降といえます。90年代は、ちびまる子ちゃんで幕を明け、セーラームーン、Jリーグ、たれぱんだ、そして先ほど申し上げた「キティ」の第三次ブーム、「ポケモン」の大ヒットなど、さまざまなプロパティジャンルからヒットキャラクターが登場し、この10年間で現在のキャラクターマーケットは形成されました。キャラクター数が増え、テレビアニメ発、ゲーム発、絵本発、海外発とジャンルも出身媒体も多様になりました。
しかし2000年に入ると、ポケモン、キティの勢いが止まり、マーケットは2割くらい落ち1兆6800億となります。
それに合わせるように、マーケットの流れが、世界観がしっかりしていて歴史があり、ブランド化されているようなロングセラーキャラクターに集中し始めました。そしてその一方で、一部の層しか知らない、マスにはなり得ないようなキャラクターにも人気が集まるという二極化の傾向を示し始めます。
この二極化は、基本的には生活者の嗜好を反映したものだと思いますが、流通の問題も大きく関係しています。それ以前は決して大きいとは言えなかったキャラクター市場は、90年代を通じて急速に拡大していきました。キャラクター=ビジネスとなり、量販店が積極的にキャラクター商品を扱うようになりました。これらの流通は、マーケットが拡大している間は多様なキャラクターを置いていましたが、マーケットが縮小に転じた時、安定的に売れる商品に集中するようになったのです。一方、他では売っていないキャラクターに価値を見い出し、セレクトショップでキャラクター商品を買うような人たちがどんどん生まれてきました。
この二極分化は現在も進んでいます。ロングセラーキャラクターの代表がディズニーですが、キティとポケモンの勢いが止まった2000年から物凄い勢いでディズニーのプーさんが伸びています。ただマーケット全体としては、大きく伸びずに混沌とし、次の一手を探している状況だといえます。
■2000年以降に動きの目立った新しいキャラクターはありますか?
陸川:2000年以降に動きの目立ったキャラクターは残念ながらありません。ディズニーやサンリオ、ポケモン、スヌーピー、ミッフィーといった昔からのロングセラーキャラクターがベスト10を占め、若干の変動はあるものの大きくは変わりません。基本的には、幅広いファン層を獲得しているキャラクターと、その年のテレビアニメやライブアクションものでヒットしたものが上位にランキングされるような構造です。表1
キャラクターベスト10-1999,2002,2004 表1
| 順位 |
1999年 |
% |
2002年 |
% |
2003年 |
% |
| 1 |
ハローキティ |
17.05 |
くまのプーさん |
10.87 |
くまのプーさん |
12.68 |
| 2 |
ポケットモンスター |
16.68 |
ハローキティ |
7.55 |
ハローキティ |
8.18 |
| 3 |
ミッキーマウス |
6.33 |
ミッキーマウス |
5.45 |
ミッキーマウス |
6.88 |
| 4 |
くまのプ−さん |
4.59 |
ポケットモンスター |
4.71 |
ポケットモンスター |
5.23 |
| 5 |
ドラえもん |
4.01 |
それいけ!アンパンマン |
4.05 |
スヌーピー(ピーナッツ) |
4.22 |
| 6 |
スヌーピー |
3.88 |
とっとこハム太郎 |
3.12 |
それいけ!アンパンマン |
3.90 |
| 7 |
たれぱんだ |
3.16 |
スヌーピー(ピーナッツ) |
3.08 |
機動戦士ガンダムシリーズ |
2.79 |
| 8 |
それいけ!アンパンマン |
2.17 |
機動戦士ガンダムシリーズ |
2.95 |
とっとこハム太郎 |
2.41 |
| 9 |
ミッフィー |
1.79 |
忍風戦隊ハリケンジャー |
2.59 |
ミッフィー |
2.34 |
| 10 |
ウォレス&グルミット |
1.50 |
仮面ライダー龍騎 |
2.47 |
爆竜戦隊アバレンジャー |
2.17 |
90年代後半から2000年頃にかけては、たれぱんだやアフロ犬といったキャラクターが注目を集めましたが、相対的にみれば、メディアサポートのないオリジナルキャラクターは一番苦戦しているといえるのではないかと思います。
キャラクター研究所さんからも調査結果が出ていますが、オリジナルキャラクターは世界観があってないようなものが多い。新しいオリジナルキャラクターは、ヒットしづらい時代ではないでしょうか?
相原:今回の調査では「時代意識」も調べています。2000年と2004年で比べて特徴的なのは、意識が非常に前向きになっているという点です。
2000年は経済的にも底で、世の雰囲気も暗い中で、世界観を持たない表層的なキャラクターに自己投影をして「自分が悲しい時は悲しいと思ってくれる、嬉しい時は嬉しいと思ってくれる」とやや病的な、ストレスや悩みの吐き出し口としてキャラクターとの関係が機能しているような面もあったと思われます。
それに対して、今は時代や経済が持ち直し気味で「いつまでも暗くてもしょうがないので、上を向いていこう。」そういう志向が強まって、「前向きに生きていきたい」という意識が14ポイントと大きく跳ね上がっています。グラフ7
キャラクターとは、幸せの原風景を内包しているところがあるので、ファンシーキャラとして次から次へと出てきた新しいキャラクターに対する関心は一段落して、時代を超えてきた、世界観もあり、ブランド価値も出来上がっているキャラクターに対する信頼感が強まったのだと思います。
このような前向きな志向は健全な志向ともいえます。絵本のキャラクターに代表されると思いますが、今、ユーザーは癖のない良質なキャラクターに関心が高く、こだわり型のキャラクターから正統派のキャラクターへ支持が移っている傾向にあります。

グラフ7:人々の気持ちの変化
クリックすると大きな画像でご覧いただけます。 |
陸川:実はキャラクターの定義はすごく難しく、一般の人も何をもってキャラクターなのかよくわからないというのが90年代でした。選択肢が非常に広がる中で、パッとその時の気持ちを満たしてくれる自分だけのキャラクターを選ぶといった傾向がありました。それに対して、今「前向き」という話がありましたが、2005年の現在は、一般の人達も商品の表面だけではなく、キャラクターのバックボーンや世界観などの背景も知り得る環境があり、そういった情報を積極的に取り入れるようになった、このような接触のあり方もキャラクター選択に影響を及ぼしていると捉えられます。
また、流通の問題---90年代にキャラクタービジネスがほぼ確立され、「メディアに露出していかないとキャラクターは育たない」と企業側も理解し、店頭でしか露出ができないオリジナルキャラクターは、量販型になることで短命化せざるを得なくなってきている、という状況も、機会の多少という面でキャラクター選択に影響を与えていると思います。
また一方で、一部の人達の間でしか知られていないようなマニアックなキャラクターは、デザインテイストや限定感が重要で、商品露出が少なく、多くの人たちが持っていないからこそ価値を見出されています。
これらのキャラクターは、ファンシーショップや玩具店ではなく、今までキャラクターを扱っていなかったアパレルショップで扱われていたりと、チャンネル自体が多様化しています。例えばキディランドに行く人とモノコムサに行く人。キャラクター重視か、デザイン性やクオリティ重視か、といった流れがこの4年でできあがっていると思います。
相原:ただキャラクター商品に対する関心は、1999年をピークに減少傾向にあり、マーケットについても落ち着いたといえます。横に広くキャラクターを求めることから狭く深くキャラクターと接するスタイルへと移行していると言えます。生きていくうえで、キャラクターとの信頼関係を強めるためにはやはりユニークネスのみでキャラクターを求める事はありません。一生を添い遂げるキャラクターを求める時代なのです。二極化はあるものの、総じて横の関係から縦の関係へ変化していると言えます。
キャラクターコミュニケーションとキャラ好きママの実態
相原:4年前は、ストレスを強く感じている人はキャラクターに何を求めるのか?と、ストレスとキャラクターの関係をベースとした調査でしたが、今回はコミュニケーション欲求度とキャラクターの所有、意識を調べました。
今はコミュニケーションの時代と言われる反面、コミュニケーションをとるのが難しい時代でもあります。コミュニケーションにおけるキャラクターの機能には大きく2つのタイプがあると考えられます。ひとつは、本来は人間同士のコミュニケーションに依って安らぎを得たい部分を、キャラクターが代替してくれる機能。もうひとつは、人との間のコミュニケーションツールとしてキャラクターを使うという機能です。
今回の調査では、コミュニケーションをより強く求める人ほど、キャラクターに対する期待度、実態、所有や好意度が高いという結果が出ています。グラフ8 ただし、機能という面で見るとその境界は不明瞭です。先ほど汚くなっても捨てられないキャラクターという話をしましたが、小学校の最後に友達とディズニーランドへ行き、一緒に買ったお揃いのキーホルダーが仲間の思い出になり、汚くなっても捨てられない、という子どもがいました。思い出からくる安らぎという面もあるのでしょうが、友達の印なので捨てられないというのです。子どもは仲間から取り残されるのを非常に嫌がり、友情の印としてキーホルダーなどをつけています。それによって「大丈夫、あなたとの関係はほらオッケーでしょ。」と周りに示しているのです。キャラクターは人間関係を表象するものとして機能しているのです。
これはティーンエイジャーに特徴的な傾向です。キャラクターをつけている理由は、「好きだから」「かわいいから」という言葉ほど単純ではないと思います。潜在意識に「繋がり」がキーワードとしてあり、単なるコミュニケーションツールとは異質なものを強く感じます。
グラフ8
コミュニケーション欲求とキャラクタ−浸透度 (%)
 画像をクリックすると大きな画像がご覧いただけます。 |
陸川:もともとティーンエイジャーはキャラクターから一度離れ、キャラクター商品の購入金額は少ない年代です。ところが去年あたりから、若干ですがこの年代の購入金額が伸びています。キャラクターバブルの時に生まれた現在のティーンエイジャーは、子供時代、溢れるようなキャラクターに触れて育った年代です。この子たちは、中学生、高校生になった今でもキャラクターを持っている事に抵抗がないのかもしれません。買っている商品はストラップ等、圧倒的に携帯周りが多いですね。
相原:今回、年代別にグループインタビューを行って強い印象を受けたのですが、キャラクターについて目を輝かせて語ってくれたのが、小学生の高学年と30〜40代の母親、この2つの世代でした。他の年代は全体的に低関与なのに対して、30〜40代のお母さんとその子供(主に小学生の高学年ですが)はとても積極的で、40代のお母さんがまるで少女のように「このキャラクターがね・・・」と語ってくれたのは非常に興味深かったですね。
まさに今のお母さんはキャラクター、アニメで育った世代です。ところが「いい大人がーキャラクターをじゃらじゃらとつけて・・。」と白い眼で見られ、ファッション性の問題もあって、一度キャラクターから離れてしまった。でも本当はキャラクターが好きなんです。そこで子どもが生まれたことを免罪符にして「子どもが好きだからディズニーランドにいくのよ」「子どものためにキティちゃんを買うのよ」と少女時代を再び謳歌する。その子どもである小学校高学年の世代は、小さな頃からキャラクター消費を楽しんで育った層ですから、消費の決定権も持たせてもらえるようになると、母親とはちょっと違った、ナルミヤなどのファッション系のキャラクターをコミュニケーションツールとして買いあさる。キャラクターに対してポジティブなこの二つの層に注目すべきだと思います。
陸川:おっしゃる通りだと思います。キティも70年代に生まれました。仮面ライダーもガンダムも、今のキャラクターマーケットを支えているのは30年くらいの歴史を持っている70年代生まれのキャラクターなんです。
相原:ただ、30〜40代のお母さん達はマニアではないのでキャラクターに対するそれほど強いこだわりがあるわけではないようです。キャラクターに関しては、ファッション性を重視しているとも感じません。乙女チックな、自分の少女時代を再現する手段としてのキャラクターであればなんでもよいといった印象を受けます。ですから、このお母さん達から、新しいキャラクターが支持されることはあまりありませんね。
とにかく子供に帰りたいのではないでしょうか。一緒に子供みたいになって遊ぶためのコミュニケーションツールとしてキャラクターを捉えているのではないかと思います。
陸川:キャラクター・データバンクの調査でもこの年代には、スタンダードなキャラクターが多く支持されています。幼い頃に物凄く人気があったキャラクターをいまでも好きなわけです。大人になってキャラクターから離れていたけど、今、昔を思い出してまた買っている、という人が多いと思います。
表2
(30代,40代女性のキャラクターランキング2004)表2
| |
30-39歳女性 |
40歳女性 |
| 順位 |
キャラクタ−名 |
% |
キャラクタ−名 |
% |
| 1 |
ハローキティ |
13.19 |
くまのプーさん |
14.25 |
| 2 |
くまのプーさん |
12.85 |
スヌーピー(ピーナッツ) |
11.60 |
| 3 |
ミッキーマウス |
7.65 |
ハローキティ |
10.40 |
| 4 |
スヌーピー(ピーナッツ) |
6.47 |
ミニーマウス |
5.50 |
| 5 |
ピングー |
3.83 |
ミッキーマウス |
5.50 |
| 6 |
ミッフィー |
3.46 |
くまのプーさん |
14.25 |
| 7 |
ファインディング・ニモ |
2.83 |
ディズニーキャラクタ− |
4.21 |
| 8 |
ドナルドダック |
2.58 |
チップ&デール |
3.64 |
| 9 |
シナモロール |
1.80 |
となりのトトロ |
3.19 |
| 10 |
マドレーヌといっしょに |
1.69 |
グ−フィー |
2.78 |
>03●キャラクターマーケットはどうなっていくのか?
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